2008 SUMMER
福島県支部の昇段規定では合宿に2回以上参加していることが必須条件となっています。
合宿に参加することで集団生活を学んだり、子供達をまとめる苦労を知ったり、いろいろな指導者に学ぶことにより見聞を広めたりとたくさんのメリットがありますが、必須項目になっている最たる理由として『人をまとめる力を養う』ための合宿参加なのだと思います。
そんな夏合宿ですが初参加の際はいろいろと不安がつきものです。そこでこれから合宿に参加しようと思っている方のために合宿のイメージが掴みやすいよう体験レポートを作成してみましたので参考になさってみてください。
☆一日目・7月25日(金)
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出発時刻の5分前には全員が到着していた玉川分支部の面々。
参加メンバーは酒井佑果さん・塩澤理人君・須藤良太君・増子サヤカさんの4名で全員が初参加でした。
初参加の不安感に朝早いのが重なってみんなのテンションは低めでしたが、石川・平田・いわき道場と合流し高速道路に乗る頃にはいつものテンションに戻っていました。
行きのバス車内では現役の空手選手が演技もこなす『黒帯』という映画が流されました。迫力のある格闘シーンには皆が釘付けになっていました。
昼食は各自時間を見てバス車内で摂りました。
★理人’s レポート★ バス内では始めての合宿ということで緊張したのかずっと腹痛を我慢していました。 小学生の子は緊張していませんでしたが、上の学年は緊張していました。 バス内で観た「黒帯」はとってもかっこよくて感動しました。僕は受けで相手を倒す義龍(ぎりゅう)役の人に惚れました。 あと、去年合宿に参加した人に「ビンタされるから気をつけて」と言われビビッていました。 |
さて、いよいよ今回の合宿所である『白子サンライズオーツカ』に到着しました。
先に到着している他県の道場生の姿を目にすると「いよいよ合宿が始まるんだ…」と緊張感が高まります。
今日は合同稽古の後すぐに海に向かうということで、道着の下に水着を着用するようにとの指示がありました。部屋でゆっくりする暇も無いままに着替えて玄関前に集合し、稽古場である屋内テニスコートに向かいます。
行く途中に渡る横断歩道では、一般車両の通行の妨げにならないように黒帯の先生方から「走って渡れ!」と指示が飛びます。その激しい口調に気を引き締められつつも、暑さや稽古内容に対する不安などから道場生の口からは「暑い〜。稽古ヤダー」等々不満が漏れ出していました。そのことで福島県支部4班班長の馬場先生から「他の支部の道場生もいるので、あまり自分勝手な発言は控えるように」との注意を受けました。皆さんも気をつけましょう。
屋内テニスコートは人工芝の上に砂浜の砂が撒かれた不思議な場所で、今年から新しく窓がつけられたらしく時折涼しい風が入ってきて想像していたよりは快適でした。
廬山館長の挨拶では「合宿中は軍隊の様に上官(先生や先輩)の言う事を良く聞いて規律のある行動をとるように」とのお話がありました。
稽古内容はそれほどきつくなく、軽く汗を流す程度でした。
中里海岸は波が高く、海水浴客に混じって沢山のサーファーがいました。海岸に着くと早速道着を脱ぎ捨て、まずは一般部の男性方が海に入りました。そして横一列に並んで手を繋ぎ、子供達が沖へ流されてしまわないようにバリケードを作りました。
小学生は事前に配布された腕用の浮輪をつけて海に入り、それ以外の人達もみんな思い思いに海水浴を楽しんでいました。
馬場先生は班長ということで『4』と書かれた黄色いメガホンを片手に事故が起きないように監視していましたが、こっそり道場生の背後に立ちメガホンで水をかけるといういたずらをしては被害者から集中砲火を浴びていました(笑)
★理人’s レポート★ 合同稽古では稽古場所がテニスコートということでとてもびっくりしました。テニスコートにはすごい数の黒帯の先生方がいて緊張が高まりました。 とても会場が暑かったので、準備運動だけで倒れそうになりました。 合同稽古の後の海水浴では、海水が冷たくて入りたくありませんでしたが無理やり連れて行かれ、最後にはヤケになって遊びまくりました。 |
ホテルに戻ると足に付いた砂を落とす為に子供用ビニールプールに水が張られていました。そこで綺麗に砂を落とし、同じくロビーに準備されたタオルで足を拭いて部屋に戻りました。
入浴は男子からで、男湯も女湯も関係なく時間で区切って入浴しました。班別では無かったので混み具合がひどく、体を洗うだけで精一杯でした。浴場にはボディーソープとリンスインシャンプーが置かれていて、脱衣所にドライヤーも準備してありました。お風呂のお湯は茶褐色のヨード泉でしたが、申し訳程度に浸かるぐらいの時間しかありませんでした。
入浴が済むと次は夕食です。
すごい数の夕食を準備するので福島県支部の中学生以上は率先してご飯や味噌汁等の配膳を手伝いました。
全員が揃うと『黙想』をして、全員で「いただきます」をしました。
夕食が済むと廬山館長講話の時間です。小学生以下はロビーにて石島師範による隊長講話を聴く事になりますが、寝ないで話を聴くことが出来る場合は小学校高学年のみ館長講話への参加が許されました。
館長講話では質問形式で話を進めるというスタイルで、『廬山館長は普段どれくらい稽古をしているのですか?』などの質問にユーモアを交えながら答えてくださいました。
★理人’s レポート★ 宿舎に戻り、「やったー!風呂だー!」と思ったら、10分〜20分くらいしか入浴時間が無くシャワーのみとなりました(T_T) 館長講話では館長との距離が近くてなぜか緊張してしまいましたが、話の内容はとても面白くてためになる話ばかりでした。 |
その後部屋に戻り各班ごとのミーティングが終わると長かった一日も終わりです。
消灯は10時。きっと疲れて早く寝るんだろうと思いきや…
★理人’s レポート★ 部屋の中ではとにかく小学生達をまとめるのが大変でした。 布団はどう準備するの?と聞かれて『なんでそんなこともわかんないんだよ』と思ったりもしました。 消灯になってからは子供達が騒いでなかなか寝付けませんでした。 |
☆二日目・7月26日(土)
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眠れた人にもそうでない人にも平等に朝はやってきます。
5時40分にはホテル玄関前に集合しなければいけないので、子供達の行動時間も考えると実際の起床時間は朝5時でした。
薄曇りの空の下海岸へ向かうと、昼間とは比較にならないほどのサーファーが波間に漂っていました。
班ごとに整列し準備体操をした後、全員で浜辺をランニングしました。砂に足を取られていつもの倍疲れましたが、波に反射する朝日を見ながら涼しい海風に吹かれるのはとても気持ちが良かったです。
早朝稽古の内容は班長に一任されているようで、型を稽古する班や型の分解を稽古する班、補強をする班など稽古内容はバラエティに富んでいました。
稽古を終えてホテルに戻るとすぐ朝食です。
中学生以上は配膳を手伝うため部屋には戻らず、そのまま食堂前で待機していました。
★理人’s レポート★ 二日目の朝は5:30起床ということですごく辛かったです。 起きてすぐに海へ行き、砂浜でランニングをしました。 さすがに砂浜で稽古をするのは初めてだったので楽しかったです。 朝食の準備は用意してある茶碗が足りなかったり、小さい子供が走り回ったりとすごく大変でした。 |
二日目の合同稽古はスケジュール表にもある通り帯別に分かれての型稽古でした。
三日目の館長稽古時に帯別に発表会があるということで、入場の仕方から稽古しました。
曇りとはいえ千葉はとても蒸し暑く、休憩の度に会場に用意された冷たい水をみんなで飲みました。熱中症を心配してかこまめに休憩をさせてもらえました。
★理人’s レポート★ 茶帯は撃砕小と10本組手の5本目までを稽古しました。 僕は一番前で指導してもらいとても勉強になりました。 指導をしてくださった堀井支部長からは、黒帯の先輩方に負けないくらいの気合を出すように言われたので頑張りました。 |
型稽古が終了すると昼食を取るために一度ホテルへ戻りました。
海水浴は午後2時からなので1時間ほど休憩することが出来ました。
二日目は海水浴の後に班対抗の相撲大会と綱引き大会がありました。相撲は小・中・一般の部に分かれていて出場者は男子のみ、綱引きだけは相撲に人員を割かれた中学生男子の代わりに中学生女子が出場することが出来ました。
どの部門も福島県支部は順調に勝ちあがり、応援団も右に左に大忙しでした。
★理人’s レポート★ 昼食後の休憩時間は、いわき道場の人とテレビを観て休みました。 その後の相撲大会には、自分も中学生代表として出ました。自分のポジションは一番目ということで頑張りましたが、健闘及ばず負けてしまいました。 しかし三番目に登場する主将の鈴木君が活躍し、優勝することが出来ました。 相撲が終わるとすぐに綱引きの決勝戦に駆り出されましたが、こちらも優勝したのでとても嬉しかったです。 |
ホテルに戻るとすぐ入浴し、夕食の後はロビーにて岡崎師範も交えた班ミーティングが行われました。
ミーティングでは今日の相撲・綱引き大会の結果報告もあり盛り上がりました。8時半には各自部屋に引き上げ、消灯まで思い思いに過ごしました。
★理人’s レポート★ 二日目の入浴時間も一日目と同じで短かったですがゆっくり入ることが出来ました。 ロビーでの班ミーティングでは師範のお話もあり、もう少しで合宿も終わりだなと実感しました。 その後は同室の皆とテレビドラマの最終回を見ながらゆっくり休むことが出来ました。 |
☆三日目・7月27日(日)
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長いように思われた合宿も今日が最終日。
子供達も準備にかける時間が短くなり、声を掛ける前に廊下に待機出来た子もちらほらいました。
昨日と同じように海岸に向かいましたが疲れのせいか体調不良を訴える子も出てきていました。主に腹痛と頭痛でしたが、鼻血が出てしまう子もいたのでポケットティッシュは必需品だと思いました。
三日目の早朝稽古は帯別に整列し、各帯の最前列が海に浸かるまで移動稽古でひたすら前進しました。
そのまま太極その1を数回やらされ、波に足をすくわれながら必死で型を打ちました。海に浸かる前は何とか現状を回避しようと歩幅を小さくしたりと姑息な手段に出てみたりしましたが、埼玉県南支部の井上雄太先生に「これが合宿ですから」と言われ諦めがつきました。
帯別の稽古が一通り済むと、今度は黒帯の先輩や先生方のみで砂浜のランニングをし、自分達よりも更に深いところまで移動稽古で海に浸かっての稽古や、砂浜に仰向けに寝そべって順々にお腹を踏まれたりととても大変そうでした。
★理人’s レポート★ 二回目の早朝稽古は海に入り稽古をしました。 自分は最前列にいたので移動稽古の時に海に入りました。しかし二列目の人は結局最後まで入らずに済んだので「なんで入ってないんだよ!?」と思いました。 |
朝食の後、三日間お世話になった部屋を片付け、指定された部屋に荷物を移動しました。
それから屋内テニスコートに向かい、数回型稽古(発表会リハーサル)をした後いよいよ発表会本番を迎えました。
小さい子供達が一糸乱れぬ型を打つのに感心したりしながら発表会を観ていましたが、道場生にまとまりが無かったりすると指導した先生へ館長から叱責が飛ぶなど、テニスコート内は異様な緊張感に包まれていました。茶帯・黒帯はさすがで、指導した堀井支部長と石島支部長の指導力が褒められていましたが、『団体行動としては満点だが今後は強さを追及して欲しい』と館長から総評がありました。
★理人’s レポート★ 合宿最後の館長稽古では発表会が行われました。 白帯から次々と発表していきました。自分は最前列で発表しなくてはいけないので、失敗したらどうしよう、怒られたらどうしようと不安で一杯でした。 そしてついに発表の順番がやってきました。カチカチに緊張しながら発表しました。失敗をせずにやれたので安心しました。 |
無事に発表会を終え、ホテルで最後の昼食を摂りました。三日間大勢の食事を作ってくれた従業員の方々にお礼を言って食堂を後にしました。
荷物を抱えてホテルの玄関を出ると、合宿をやり遂げた充実感が体中を満たしていました。
バスに乗り込みビデオを観ながら帰路に着きましたが、バスの中で仮眠をとる道場生は少なかったように感じました。
★理人’s レポート★ バスの中では皆すごく疲れた顔をしていました。 自分が今年合宿に行って良かったことは沢山の支部の黒帯の先生方に教えてもらえたことです。 大変だったことは小さい子供達をまとめる事でした。 来年合宿へ参加する道場生の方に僕から出来るアドバイスは、とにかく普段から自分のことは自分でやる癖を普段の生活でつけておけば苦労することはないと思います。 自分は黒帯になるためにあと1回合宿に参加しなければいけないので、今年苦労したことなどを活かして来年も頑張りたいと思います。 |
☆あとがき
宿泊したホテルの従業員さんやスケジュールを円滑に進めるために動いて下さった旅行会社の皆さん、三日間食事の準備をしてくださったコックさん、そしてたくさんの黒帯の先生や先輩方、留守を守ってくれていた家族などなど三日間の合宿を振り返ってみると、沢山の人達によって合宿が支えられていることがよくわかりました。
慣れない生活リズムについ自分のことでいっぱいいっぱいになってしまいがちですが、砂のついた足を綺麗にするためのプールやタオルも、随所に用意された冷たい水と紙コップも、用意してくれる人がいたから気持ちよく合宿生活が送れたのだということを忘れてはいけないと思います。
また、玉川分支部のためにお忙しい中写真を撮って下さった蓮田支部の見山支部長と小林先生には、この場を借りてお礼申し上げたいと思います。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
ところで、たった三日間の合宿でしたが寝食を共にすることにより道場生のいろいろな一面を見ることも出来ました。
その中で気付いたことを今後合宿に参加する後輩達へぜひ伝えておきたいと思い、心構えとして以下に書き連ねてみたいと思います。
心構え1:他人に迷惑をかけないように行動をする。
当たり前の事ですが、勝手な行動をして探されたりしないこと。
実際に誰にも言わずにトイレに行っていていなくなったと騒ぎになったことがありました。
皆と違う行動を取る時は大人の許可を得てから行動するようにしましょう。
心構え2:自分の面倒は自分でみる。
「早く起きて」「早く集合して」「ちゃんと整列して」等先輩にいちいち言わせないように自分から行動出来る様にしましょう。
また、持ち物の管理をしっかりしましょう。無くしたらほとんど出てきません。無くなって困るのは自分です。
それと最低でも布団くらいは自分一人でひけるようにしておきましょう。
心構え3:好き嫌いは極力なくしておく。
作ってくれている人に失礼ですし、食べ物を残すのはもったいないことだという意識を持ちましょう。
心構え4:合宿中は甘え厳禁!
信じられないことに先輩を飲み物の買出しに使った道場生がいました。
疲れていて階段の昇り降りが億劫なのはわかりますが、それは皆同じこと。
面倒をみる側も優しさと甘やかしを取り違えないように。甘やかしはその子のためにはなりません。
なんだか説教じみてしまいましたが、ちょっと意識を変えることで面倒をみる側もみられる側もお互いに気持ちよく過ごせるのではないかと思います。
それでは最後に持ち物について補足をしておきたいと思います。
【持ち物】 初日の昼食・空手着(上級者は下だけ予備を持っていくと便利)・帯・海水着・日焼け止め 海水浴時に脱いだ道着等を持ち運べる袋・着替え・バスタオル(1枚でもなんとかなりますが海用と入浴用で2枚あると便利)・小さめタオル3枚程・ビーチサンダル・洗面用具・寝巻き類・健康保険証の控え スポーツドリンクやお茶などの飲み物2本程度・ポケットティッシュ2個程度・頭痛薬・胃腸薬 買い物袋(濡れ物を持ち帰ったりごみを入れたりと使い道多数)・小遣い三千円以内(少年部) ちなみに運動靴は今回は使用しませんでした。 |
たくさんの人と出会えいろいろな経験が出来る合宿ですから、黒帯はまだまだ遠いという方もぜひ一度参加してみて下さい。